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平成30年度鳥取県障がい者芸術・文化作品展 あいサポートアートとっとり展

鳥取県内より応募のあった総数432点の作品の中から、審査員による厳正な審査を行い、最優秀賞、金賞、銀賞、銅賞の各賞及び選外佳作を決定いたしました。

◎美術部門: 最優秀賞 1点 、金賞 3点 、銀賞 3点 、銅賞 3点、 選外佳作 14点
◎文芸部門: 最優秀賞 1点 、金賞 1点、 銀賞 1点、 銅賞 1点 、選外佳作 2点
◎マンガ部門:最優秀賞 1点 、金賞 1点 、銀賞 1点 、銅賞 1点、 選外佳作 1点

<平成30年度>あいサポート・アートとっとり展 受賞者一覧

審査員講評


【美術部門】

審査員/尾崎 信一郎(おさき・しんいちろう 鳥取県立博物館副館長兼美術振興課長)

今年も「あいサポート・アートとっとり展」を審査させていただきました。昨年よりは少し減ったものの、全体で432点の応募があり、楽しく審査させていただきました。今、楽しくと書きましたが、この展覧会に出品いただいた作品はいずれも作者の思いがストレートに伝わり、今年はどんな作品に出会えるか、楽しみに会場に足を運ぶことができるからです。一方で甲乙つけがたい作品の中から受賞作を選ぶことはなかなか難しい作業でした。

今年の審査について若干の所感を書き留めておきます。今回の最優秀賞は立体造形部門の舛井明美さんの《段ボールの反乱》に決まりました。これまでこの展覧会の最優秀賞は平面作品が多く、立体造形部門から選ばれたのは初めてではないでしょうか。舛井さんの作品は小さな段ボールの切れ端に彩色して重ね、針金を通したレリーフ形式の作品です。幾重にも重なった段ボールは迫力があり、時間をかけて苦心して制作されたことがうかがえる作品でした。金賞となった三点の作品も絵画、レリーフ、立体と、形状こそ異なりますが、いずれもカラフルで気持ちが浮き立つような作品です。

立体造形の部門からこれほど多くの入賞が出たのは初めてだと思います。逆に言えば、今年は絵画と書の部門が少しおとなしかった気がします。入賞することが目的ではありませんが、会場の中で大きな作品や派手な作品は目を引きます。年に一度の機会なので、いつもの表現の枠を壊すような元気のよい作品を制作してみてはいかがでしょうか。写真にもよい作品がたくさんありました。さらに多くの作品の応募を期待します。

そのほか今年は共同制作の作品に印象に残るものが多かったように思います。大勢で時間をかけて制作することは楽しく、作品も充実します。今後もこのような取り組みも期待したいと思います。




【文芸部門】

審査員/石山ヨシエ

◎最優秀賞 詩No.89 「家賃礼金タダの家」  着眼が面白い。恐らく何らかの理由で使わなくなった自家用車に棲みついたクモに対し、自らの心情を重ね合わせてさり気なく書かれている点も好感がもてた。奇を衒ったところがなく、読み手の心にすっと入ってくるのが良かった。

◎金賞 川柳No.76 魅力ある人だ とにかくよく食べる  人のもつ美点は探せばどこかに必ずあるということを気付かせてくれた。 この作品の魅力は読み手にも「魅力ある人だ」と共感を抱かせてくれるところにもある。

◎銀賞 俳句No.1029 「ハスの花」 遍路でまわる 母と父  ハスは極楽浄土に咲く花とも言われている。身内の死に遍路でまわる母と父をそれに重ねたのであろう。作者は同行出来ない事情があったのかも知れない。その思いをハスの花に委ねたところがいい。また、ハス、花、母のハ音の響きも心地いい。 注)「蓮の花」は夏季、遍路は「春季」で季重りになっているが、お遍路は春のみに限られていないので、掲句の場合「蓮の花」が主季語となる。

◎銅賞 詩No.75 「私ねこだから」  猫になりきって自分の思いのままの暮しがユニークに綴られている。 現代社会にあって、規律とか常識などにとらわれない自由な生き方に共感した。「少しだけならなでてもいいの」「でも、あなたのそばはきらいじゃないの」に、特別な人の存在をうかがうことができ、ほのかな幸福感が伝わってくる。

◎佳作1 短歌No.1128 父  「ゆず」は食べるだけではなく「柚子湯」などを連想させ、その香りから 父との懐かしい思い出が蘇ったのだろう。「トゲの痛さ」は実感であろうが「トゲのあおさ」にするとさらに良くなるのでは。あおさは緑色を差す。

◎佳作2 詩No.1065 一枚一枚に  タテ96㎜×ヨコ126㎜の貼り絵の大作には目を見張るものがあった。 特に紙縒(こより)で作られた氷柱や気の遠くなるような作業には感動した。この作品の前に立つと「無駄な経験なんて一つも無い」の言葉が胸に響く。




【マンガ部門】

審査員/角田 治

4コママンガの王道であるユーモアやギャグたっぷりの作品はもちろん、アートを感じる作品や心温まるエピソード、さらに謎解きの要素まで、4コママンガの可能性を広げる力を秘めた優れた作品がそろい、審査員一同とても悩みました。

◎最優秀賞 No.0087「我が家の猫」は、4コママンガが4話の連続ドラマのように縦横につながる構成にうなりました。セリフを読まなくても絵だけでだいたいの内容がわかるよう工夫されているのも高評価につながりました。

◎金賞 No.2052「僕、バイク2 そして宇宙へ」は、いきいきした線と色が目を引きました。一見、シンプルな線と色だけで簡単に描いているように見えますが、効果線を使ってスピード感や、逆に遅い動き、しょんぼりとした感情を表現するなど、マンガの作法を使いこなしていて力量を感じました。

◎銀賞 No.0165「かくれんぼ」は、絵を描かずにほとんど図形と模様だけで4コママンガとして成立させた点を評価しました。「かくれんぼ」の作品名の通り、美しい春夏秋冬の風景の中にこっそり暗号を潜ませ、読み手に謎解きをさせる仕掛けは見事という他ありません。

◎銅賞 No.0165「池照タクヤが行く!!!」は、超美形だけど自意識過剰で油断するとギャグタッチになる、絶妙に“痛カッコいい”キャラクターの存在感が際立った作品です。続編を読みたいと熱望します。

◎佳作 No.0086「いたずらうなぎ」は、マンガとしての完成度が非常に高い作品です。キャラクターの完成度や絵の上手さは抜群に上手ですが、それだけに、ややオチが読めてしまうのと、同じようなコマが続いたのが残念でした。コマ運びにさらに磨きをかければ最優秀賞も狙えるはずです。

残念ながら今回入選できなかった作品も、絵に力があり、アイデアが光る素晴らしい作品ばかりでした。どの作品からもマンガを描くよろこびが感じられ審査員一同大いに刺激を受けました。次回も楽しみにしています。